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2013年9月29日日曜日

リスニング特性の改善(15) 岩瀬式吸音パネル設計変更その2

前回、内径4mmのパイプ長を20mmから58mmに変更して、測定をすぐに報告しなかったのですが、測定そのものは1週間後にしており、結果は次のようになりました。

測定は、青色のグラフが、パネルから30cmの距離、赤色のグラフが3cmの距離です。

目標とした70hz近辺での吸音は、この周波数特性からは見られないところが悲しいところですが、300hzから800hz帯域で、吸音パネル近傍では周波数特性が滑らかになっているのでしょうか。

これは何を意味しているのかなー。

いつもこのブログにコメントを頂いている、今井さんからはパイプ径が細すぎるのではないかとのご指摘もいただき、内径8mmのパイプを発注し今週入荷したところです。

吸音周波数の計算が間違っているのか、あるいは今井さんご指摘のようにバスレフパイプの径を小さくしてゆくと効かなくなってのと同じ現象が出ているのか。

もう少ししつこく追ってみることにします。
かないまる式で、やると中音域で効果がありるはほぼ判っていますが、この方式は未知の大きな効果が期待できると信じてもう少しやってみようと。

同じ50×50×5cmの箱の中で、どう設計するか、結果を比較してみたいですね。




 

2013年9月14日土曜日

リスニング特性の改善(14) 岩瀬式吸音パネルの設計変更

前回のブログで、二つの方式のパネルの比較をしましたが、かないまる式が60hz代から影響が出ていてなぜだろうかと考えたが、これはパネルと反対側の壁との間に新たな定在波があらわれたのかもしれないと思いだした。

一方岩瀬式は、設計周波数である115hz近辺で、ディップが浅くなって、同時に周波数が少し高めに移行している。

周波数以降は良くわからないが、ディップが浅くなっているのは、この周波数だけ吸音しているからかもしれないとも思える。

では、設計周波数を変えてどうなるか、もう少し確かめてみようと思いなおした。

p孔ピッチ(cm) V空気室(cc) δ補正(cm)1.3r l'パイプ長(cm) r孔半径(cm) S孔面積(cm2) f共鳴周波数(hz)
5 125 0.26 1 0.2 0.125664 155
5 125 0.26 1.5 0.2 0.125664 131
5 125 0.26 2 0.2 0.125664 115
5 125 0.26 2.5 0.2 0.125664 104
5 125 0.26 3 0.2 0.125664 96
5 125 0.26 3.5 0.2 0.125664 90
5 125 0.26 4 0.2 0.125664 84
5 125 0.26 4.5 0.2 0.125664 80
5 125 0.26 5 0.2 0.125664 76
5 125 0.26 5.5 0.2 0.125664 72
5 125 0.26 6 0.2 0.125664 69

この表で、オリジナルの設計は、パイプ(6mm/4mm径)の長さを20mmとして、吸収周波数f=115hzを得ていたが、これをウーファーの周波数特性で低域にある大きなディップである70hzにぶつけてみる。

部屋の定在波を実測したところでも63hz、71hzに大きな定在波があることがわかっており、ディップは定在波の結果と思われるので、この解決が可能か確かめることにしました。

表から、f=70hzを得るにはパイプ長を58mm程度にすればよいことが判ります。



外径6mm、内径4mmの透明PVCパイプを58mm長に切断加工します。

手前のメジャーには58mmの所に白色PVCテープを巻いてあって、それにあわせて切断するとミス無く仕上がります。



岩瀬式吸音パネルをしばらくぶりに開けてみましたが、20mm長パイプは144本が1本も落ちることなく、正常に装着されていました。 6mmのハンドドリルで開けた穴に外径6mmのPVCパイプを捻じ込んだのですがちょうど良い感じで装着ができます。




手前に見える短いパイプが外した20mm長のパイプです。



58mm長のパイプにすべて付け替えたところです。  吸音パネルの深さ(内寸)が50mmなので、箱の中におおよそ40mm程度を残して表面に突き出すような配置とします。

もちろんうまく行けば、パイプピッチをもう少し長くして、パイプ長が中に十分に納まるようにするつもりですが、今は実験を続行します。

なおヘルムホルツ吸音箱の実験で、パイプが突き出していても、周波数はパイプ長に依存することが既に確認されているので、この方法をとっても問題はありません。

取り換えはそう大変ではないが、残暑の中でおおよそ2時間を要しました。

測定は別の日にしましょう。 だんだんに根気がなくなってきましたね。
 

2013年9月8日日曜日

リスニング特性の改善(13) 2種類の吸音パネルの再測定

前回の特性測定を、岩瀬先生の論文と比較してみると方法が異なることに気付いた。

何と何を比較するかが異なっており、岩瀬先生は論文中、16頁目の「音響管を利用した吸音実験」では、副題が「2マイクロフォン法吸音率計測法の実験系統図」となっていてる。


吸音パネルのごく近傍で測定したものと、一定の間隔をとって、吸音パネルの効果がない状況の場合の2例を比較している。

そこで、同様の測定を再度してみた。  ただし音響管の環境作りが大変なので、通常のオーディオ試聴環境で実施した。

ベリンガーのコンデンサーマイクをパネルから離隔2cmでの測定と、30cmでの測定を行い、これを二重に重ねてみた。

いずれも、グラフ中赤色はマイク位置がパネル表面から2cmで、パネルの効果を最大限に拾った測定結果で、青色は離隔30cmでパネルの効果が拾えていない位置と言えます。

1)岩瀬式パネルの測定結果は以下のとおりです。

岩瀬式パネルは、121の多孔に4mm径で20mm長のPVCパイプを取り付けて、設計では115hzに吸音目標を定めた吸音パネルのつもりですが、何故かその周辺の周波数で、赤色のグラフが青色のグラフを大幅に下回った部分が見当たらない。 
中音域は、期待していない一方で、赤青ともに大きな変化はなさそうです。
 

2)次にかないまる式パネルの測定結果は以下のとおりです。


 
かないまる式では、ご本人が定在波のたつような周波数での効果を言われていないと思っていたので、あまり期待していなかったが、50hzあたりに鋭いピークが現れたほかでは青色よりは、低周波から中音域(数khz)まで、全体に丸くなっているようで使用すると効果が出るのではないかと思えます。
 
岩瀬式パネルの設計が間違っているのかもしれないが、大学に質問をしても限界があるので、しばらくかないまる式を検討してみようかと思っています。